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2020年台風10号、台風の歴史と備え方

2020年台風10号、台風の歴史と備え方

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2020年台風10号、台風の歴史と備え方

現在、とても勢力の強い台風10号が南西諸島から九州地域を通過する予報で進んできています。今回の台風についてのお話を整理しましたので、よろしければご覧くださいませ。

■台風10号の勢力

2020年9月4日時点の予報ですと、9月6日時点で中心気圧が915hpaのとんでもない勢力まで発達して、奄美地方などを北上する予定です。

最大瞬間風速が80m/sというとてつもない風力です。新幹線の乗客者が身体を乗り出し、風を受けるぐらいのスピードとのことです。

とんでもありませんね。

《直近の台風10号の規模》

ここ2年の台風で大きな被害を振り返りますと下記の通りです。

台風中心気圧(上陸時)最大瞬間風速
2018年台風21号960hPa関西空港58.1m/s
2018年台風24号950hPa八王子45.6m/s
2019年台風15号960hPa千葉57.5m/s
2019年台風19号950hPa千葉41.5m/s


今回それよりも大きな力の台風が来るということになります。

■台風のランクについて

気象庁では下記の通りに台風の最大瞬間風速(平均風速)をもとにランク付けを行っています。

※平均風速とは:10分間計測した平均風速を指します。

※瞬間風速:ある瞬間の風速を指します。

今回の台風10号は最高ランクとなります。

台風以下の風10.0 m/s~15.0 m/s樋が揺れ始めるレベル
台風17.0 m/s~33.0 m/s高速運転中では横風に流されるレベル
強い台風33.0 m/s~44.0 m/s通常の速度で運転するのが困難なレベル
非常に強い台風43.7 m/s~54.0 m/s走行中のトラックが横転するレベル
猛烈な台風54.0m/s~上記以上のレベル

今回各メディアでも報道されている通り、2020年台風10号は”猛烈な台風”という表現をされています。

■歴史的な台風のご紹介

強烈と聞いてもなかなかイメージも沸きにくいと思いますので、今まで歴史的な被害があった台風の一部をご紹介いたします。

①1959年の台風15号

昭和の三大台風と呼ばれるうちの一つです。上陸時には929hPaの規模でした。瞬間最大風速は、一番強いところで55.3m/sでした。

この台風で犠牲者5千人越え(死者数:4,600人程、行方不明400人程)、負傷者約4万人という被害のあったと記録されています。

またアメリカの海軍のレポートによると、この台風の上陸前は最大瞬間風速約85m/sあったと記録されているそうです。

②1975年の台風13号

では離島での被害が大きかった事例も勉強しましょう。

八丈島の北方約20kmの海上を東北東に移動した台風13号。瞬間最大風速が約68m/s、家の被害報告は2403棟(当時世帯数は3375世帯)、農業施設などの産業被害額は55億円以上という大きな被害をもたらしたそうです。

今回奄美諸島や九州エリアではそれ以上の規模が予想されるのです。

■建築基準法も学んでおこう

私たちが住む家は品質確保に関する法律で守られています。直近の改正では平成18年になります。

詳しい内容はこちらをご参照ください(国土交通省の日本住宅性能基準

~耐風等級(構造 く躯体の倒壊等防止及び損傷防止)~

一戸建ての住宅又は共同住宅等

耐風等級(構造 く躯体
の倒壊等防止及び損
傷防止)
暴風に対する構造躯体の倒壊、崩壊等のしにく
さ及び構造躯体の損傷(大規模な修復工事を要す
る程度の著しい損傷)の生じにくさ
等級2極めて稀に(500 年に一度程度)発生する暴風
による力(建築基準法施行令第 87 条に定めるも
のの 1.6 倍)の 1.2 倍の力に対して倒壊、崩壊等
せず、稀に(50 年に一度程度)発生する暴風に
よる力(同条に定めるもの)の 1.2 倍の力に対し
て損傷を生じない程度
等級1極めて稀に(500 年に一度程度)発生する暴風
による力(建築基準法施行令第 87 条に定めるも
のの 1.6 倍)に対して倒壊、崩壊等せず、稀に(50
年に一度程度)発生する暴風による力(同条に
定めるもの)に対して損傷を生じない程度

上記に記載されている建築基準法施行令第87条についてのご紹介です。

第八十七条 

風圧力は、速度圧に風力係数を乗じて計算しなければならない。

2 前項の速度圧は、次の式によつて計算しなければならない。

 q=0.6E V02

 (この式において、q、E及びV0は、それぞれ次の数値を表すものとする。

q 速度圧(単位 一平方メートルにつきニュートン)

 E 当該建築物の屋根の高さ及び周辺の地域に存する建築物その他の工作物、

樹木その他の風速に影響を与えるものの状況に応じて国土交通大臣が定める方法により算出した数値

 V0 その地方における過去の台風の記録に基づく風害の程度その他の風の性状に応じて三十メートル毎秒から四十六メートル毎秒までの範囲内において国土交通大臣が定める風速(単位 メートル毎秒))

3 建築物に近接してその建築物を風の方向に対して有効にさえぎる他の建築物、防風林その他これらに類するものがある場合においては、その方向における速度圧は、前項の規定による数値の二分の一まで減らすことができる。

4 第一項の風力係数は、風洞試験によつて定める場合のほか、建築物又は工作物の断面及び平面の形状に応じて国土交通大臣が定める数値によらなければならない。

計算の方法を知りたい方はこちらをご覧いただくと良いかと思います。

風圧力とは

等級1は建築基準法を満たしたもの。

そして等級2は、500年に一度発生する暴風(伊勢湾台風レベル)の1.2倍の力に対して倒壊、崩壊しないことと定めています。

分かりやすい目やすで言いますと、平均風速42m/s、最大瞬間風速60m/sの風に耐えられるのが等級2ということです。

となると、現在建築基準法や等級2を満たしていない古い古民家にお住まいの人はとても危険ということです。

建築基準法前に建てられた住居にお住まいに人は、各自治体が定めている避難場所へ避難するか、もしくはそれ以外に安全な場所へ移動されることを強く推奨します。

■各地方の基準風速

下記が「2015年度 建築物の構造関係技術基準解説書の一部になります。

※基準風速:10m位置における10分間の平均風速

今回奄美は一番下の項目にありますが46m/sです。今回それを大幅に超えうる台風だということが分かります。

本当に気を付けましょう。

■台風の心構え

台風ですぐに普段の生活に戻らないことも想定されます。

事前の準備をしましょう。

①携帯電話などの予備バッテリーは充電しておきましょう。

②車のガソリンを入れておきましょう

※いざという時に携帯電話の充電も行えます。

③お風呂の水を入れておきましょう

※こちらもいざという時に使うことができます。

■猛烈な台風との向き合い方

①古い古民家にお住まいの人は、避難所もしくは安全な場所へ移動しましょう。

上記でもお伝えした通り、建築基準法や等級2の素材を使っていない家は大変危険です。身の安全を第一に考えて計画準備をしましょう。

②台風接近中は外出は控えましょう。

※例えば接近中に、心配になりビニールハウスを見に行ったり、撮影しに行ったりするなどの行為は大変危険です

③人命を優先しましょう。

今回の規模の台風に耐えられないものも残念ながらあると思います。しかし命があれば、まだ新たにやり直せます。そしてきっと助けてくれる人も出てくるはずです。

■今後の気候変動について

環境省が2100年の気候変動について動画を出されているのを見たことがありますか?

まだ見たことがない方は、ぜひご覧くださいませ。

このように大きな台風が今後起きるのは気候変動も関係していると専門家の方が指摘しています。

一人一人ができる環境の取組みにも配慮していかなければ、今より大きな台風が今後私たちの地域にやってきてしまうかもしれません。

次世代にそんな危険な環境のバトンパスしないためにも、今の生活スタイルを改めて見直す機会も作ってみてはいかがでしょうか。