嘉徳ジュラシック・ビーチとパリの風景法について
奄美大島瀬戸内町に嘉徳集落というところのビーチを見たことがありますか?
超絶景です。
今日はそのビーチのご紹介とパリの街並みを守るための取組みを記事にしました。
■嘉徳(カトク)ってどこ?
嘉徳集落は奄美大島の奄美空港から南部へ向かい、車で2時間程の場所にある集落になります。
集落住民は20名程のシマになります。
■嘉徳のビーチの魅力
嘉徳には人工物のない自然のビーチが残っています。
奄美大島や琉球列島でもこの嘉徳のビーチだけが自然のビーチとなっているそうです。
そしてこの自然のビーチではカメの産卵も行われます。
カメも一種類だけではなく、アオウミガメやアカウミガメ、オサガメが産卵にきたという記録も残っています。
そして天然記念物であるオオヤドカリなどのヤドカリが生息したり、絶滅危惧種の貝類も数種類確認されています。
また嘉徳に流れる川にはマングローブのテーマでも話をしましたリュウキュウアユが生息しています。
というぐらいに希少な生命が生息している地域なのです。
■生き物が絶滅する理由
地球には1000万種以上もの生き物が生息すると言われています。進化の途中で恐竜時代のように恐竜が途絶え亡くなった生き物もいます。
しかし今問題となっているのが人間の様々な活動を通じてかなりのスピードで絶滅をしていっている生き物がいるということです。
恐竜時代には1000年に1種類がなくなっていたそうですが、1975年~2000年までの25年で年間平均4万種もの生き物が絶滅していきました。とてつもないペースだということが分かります。
生き物が絶滅する理由として、森林の伐採、汚染、密猟、外来種問題、里山の放置の問題が挙げられます。
この5つの理由からも分かるように、我々人間の都合で生き物を絶滅させてしまっていることが分かります。
■現在問題となっている嘉徳ビーチの護岸工事問題
現在この嘉徳のビーチに災害対策のために護岸を設置する計画が数年前から出ております。
護岸ができることで大きな台風などが直撃したときに護岸が身を守ってくれる役割を果たします。
しかしその安心安全と引き換えにの護岸がつくられることで危惧されることがあります。
この広大な砂浜が護岸ができることで、砂浜がえぐられて減少してしまうことが危惧されています。
もしそうなってしまうと、希少な生き物もこの地からいなくなるかもしれません。
そしてこの地でカメの産卵もなくなるかもしれません。
■自然界の芸術はオンリーワン
護岸工事をしないと分からないコトもきっとあります。
護岸工事をしなかったことで集落に海の被害が及ぶ可能性もゼロではありません。
もし護岸工事をしなかったことで、万が一集落に被害があったときはどのような対応を行うのかも考えなければいけません。
しかし護岸工事をしなくても、この先これまで以上の海の災害もないのかもしれません。
危険を予測して備えることは大切なことだと思います。
このコトに対して現時点の選択肢では正しい答えがないと思います。
安心安全をどうしても優先したいのであれば、護岸工事をすることは自然な流れです。
その自然な流れに対して、不自然で人口的な護岸工事を行うことを選ぶということです。
しかしながら一度失ったものはすぐには戻りません。
仮に鹿児島で言えば桜島が火山で被害が広域に出る恐れがあるということで、桜島自体を工事で外観を変えることを行った場合、地域の魅力が弱まるかもしれません。
屋久島の屋久杉が倒れたら危ないといことで、人工的に手を加えられたら魅力が弱まるかもしれません。
自然界の芸術はそれだけオンリーワンなのです。
■地域の人が何を選ぶのか
この件を通じて感じるのは選択肢が少なく、選択肢が極端であるということです。
補助金メニューがあるから護岸工事を行える。
こちらが
令和元年に行われた国会での答弁の内容です。
住民の安心安全を取るのか、それとも他の形で自然と共生する方法をとるのか。
万が一、災害で住民に被害があった場合は何とも言えないでしょう。
しかし間違いなく、現地に踏み入れてみれば分かりますが、この嘉徳のジュラシックビーチは地域資源になる場所です。
一度行けば分かると思います。
奄美ってすごいなと思える場所です。
一度行けば分かると思います。
奄美ってすごいなと思える場所です。
ぜひ一度足をお運びくださいませ。
そんな素敵な場所を地元民や町内住民、奄美住民はどのようにしていきたいのか。
2020年10月末から工事が着工されるかもしれないということです。
ご興味のある方は、ぜひこちらの動画を一度ご覧くださいませ。
この自然を残してほしいという方は、こちらに署名もできます。
もし仮に自分がこの地域に住んでいたら、安心安全のための護岸工事を求めるのか、それともこの奇跡的なビーチを次世代にも受け継ぐための行動をするのか。
どちらを選びますか?
■パリのハートフルな景観維持について
パリ市内の一部地域では好き勝手に新築の建物をつくることが禁止されているのをご存知でしょうか?
市内にある住宅は100年以上も前に建てられたものがたくさんあります。
住宅の内装ををDIYして、外装はほぼ昔のままにしているのです。
地震がほぼないからという理由もありますが、1913年からの歴史的建造物の保全が制度化されたことからこの取組みが始まっています。
今では風景法などの法律も整備され、歴史ある街並みの風景が残っています。
そんな風景が観光資源となり、パリでは2018年に年間観光客数が5千万人も超えました。
■パリから学ぶもの
1900年代にパリが景観を守ろうとしていたころ、周りでは経済成長期で次々と新しい建物を建設していた時期でした。
その中でパリは敢えて歴史的な景観を後世に残すための法整備を行いました。
その結果、5千万を濾す観光客が訪れます。
もし他の地域と同じように古い建物を新しい建物にしていたら・・・
先代が残してくれた資源を今生きる人たちが活かして生活をするという事例ではないでしょうか。
私もパリへ訪れたことがありますが、本当に映画の中を歩いているような感覚でまた行ってみたい国の一つです。
素晴らしいブランディング、プロモーションの実績ですよね。
奄美にも同じように”芸術的な”自然が残っています。
これだけの観光客に恵まれているパリにはない資源が奄美にはあります。
今後は安心安全を担保しつつ、自然と集落や街並みの景観をどのようにしていくのかということを各自治体もしくは奄美群島の条例として整備していく取組みも必要なのかもしれませんね。