ホップは世界一高価な野菜?!
ビールといえば、麦芽とホップ、酵母が代表的な原材料ですよね。
ホップがたくさん入っているor新鮮だと何だかそれだけで美味しいイメージがありますよね。
そんなホップとビールの関係についてのお話をしていきます。
■ホップの役割
ホップがビールにどのような役割を果たしているのかご存知でしょうか?
ホップがビールに入ることで”苦み”と”香り”を与えてくれます。またビール内の雑菌の繁殖を抑え、腐敗を防いでくれる役割もあります。その結果、澄んだビールにしてくれ、さらにはビールの泡立ち、泡持ちもよくしてくれます。
ビールの要です!
■いつホップを使うの?
ビール造りでホップを使うにあたり、何のためにホップを使うのかということをまず整理しなければいけません。
先ほどお話しした通り、”苦み”と”香り”を与えてくれるホップ。苦みづけを目的にするホップをビタリングホップ(煮沸時に投入)と呼びます。香りづけを目的とするホップをアロマホップ(煮沸の最後もしくはドライホッピング)と呼びます。
※ドライホッピング:発酵や熟成中のビールにホップを追加投入すること
このビタリングホップとアロマホップの違いはα酸の含有量の違いです。
α酸の一種であるフムロンが熱によりイソフムロンに変化して、苦さの源になります。よってα酸が多いと苦みづけに適しているのでビタリングホップに分類されます。α酸が低いと香りづけに適しているのでアロマホップに分類されます。※アロマホップだからといって苦みづけに使えないという訳ではありません。
■ホップの歴史
現代のホップに至るまでの歴史は紀元前1世紀までさかのぼり、エジプトに由来するといわれています。
12世紀に、ドイツの僧侶たちがビールにホップを使いはじめ、すぐにそのビールが流行り始めます。僧侶たちは中世の傑出した醸造所であり、事実上すべての修道院に醸造所がありました。
ホップが非常に心地よい喉の渇きを癒す苦味を加え、追加の利点として、ホップがビールの寿命を延ばす天然の防腐剤として機能することを発見しました。
当時は冷蔵庫もない時代ですから大変素晴らしい発見だったことでしょう。
そして、13世紀ごろから現在のベルギー、オランダにて栽培が始まりました。
その後15世紀の終わりにイギリスでもホップの栽培が導入されます。ホップが導入されるまでは、よもぎなどのハーブで味付けされていたようです。
こんなにも長い歴史があったとは意外ですね。
■IPAの発祥のお話
ビール通の皆様ならご存知かと思いますが、IPAはインディアンペールの略になります。
IPAは今クラフトビール好きの人にも大変人気のビアスタイルの一つです。
イギリスからインドやビルマ(現在のミャンマー)といった遠く離れた帝国の前哨基地にビールを出荷する必要性から発展したものになります。高いアルコール度数に大量のホップを使うことで、長い旅にも耐えることができるようになりました。
こうやって歴史を知りながら、IPAを飲むとまた違った深みが増すかもしれませんね。
■ホップはどうやって作られるの?
ホップはアジアを起源とするカンバナ科に属する多年生の産業用植物です。
ホップ畑では、雌株だけを育てます。一般的に雄株も一緒に育てると香りが悪くなると言われています。その理由は、種子ができてルプリンという栄養素の収量が減少するからです。ホップのルプリンは多くの成分を含む樹脂と精油からなっており、ビールに特有の苦味と香りをあたえます。更にはタンパク質を沈殿させてにごりをおさえ、泡立ちをよくするほか、ビールの腐敗を防ぐ効果がある。
ではホップの栽培についての話に戻りましょう。
ホップは土の中にはたくさんの根を張り巡らせます。そして土の上には茎、葉、さらに花が円錐形の実になります。この実は皆さんも見たことがありますよね。
土の上にあるすべての部分は全て一年間以内に育ちます。秋になると、ホップは朽ちて畑から一掃されます。春になるとまた新しい芽が根元から出てきます。
そして夏頃(8-9月頃)に実の中に含まれる栄養分量も最適になるころに収穫を行います。
という流れが、ホップ作りをずっと続けている人のお話です。
■ホップの栄養素について
ホップはビールの殺菌作用に一役買っているというお話をしました。
この殺菌作用はビールに対してのみという訳ではございません。
のどの痛みを引き起こす菌に対して、ハーブエキスで殺菌効果が一番高いものは何なのかという研究がありました。
なんと、ホップエキスはその殺菌作用が一番高かったのです。
その他不眠症の方に対しても、就寝前にホップを摂取すると睡眠の改善や花粉症シーズンにくしゃみや鼻水のアレルギー症状があった人に対しても改善されるなどの報告もあります。
ホップってすごいですね!!
■ホップはビール以外にも使われている?!
ビールの製造において欠かすことができないホップですが、ビール以外の用途でも使われています。
ごく一部ではありますが、医療や化粧品にも使われているのです。
それだけ効能に期待できる農産物だということがわかりますね。
■ホップは世界一高価な野菜?!
ホップの効能が優れていることがこれまでのご紹介で伝わったかと思います。
そんなホップですが、ベルギーではホップの新芽が販売されています。
『えっ?ホップを食べるの?』
と思いますよね。
なんと、ベルギーでは新芽1kgで約1400ドルの値がつくそうです。
日本円に戻すと15万程に?!
そんな野菜、日本にありますか?
ぜひ機会がありましたらホップのソテーなど食してみてください。