奄美の旧暦と行事について
奄美は旧暦をもとに毎年行事ごとのスケジュールを決めている島です。
旧暦と新暦って何が違うのか?といった解説をしながら、奄美の旧暦の主な催事をご紹介いたします。
■奄美の行事の日程はカレンダーと少しずれている気がするはなぜ?
旧暦と新暦をよく知らない人からすると、ひなまつりとなっているサンガツサンチ(3月3日)の行事が自分の見るカレンダーより早く執り行なわれていたり、奄美のお盆は自分たちのカレンダーとお盆休みと異なっているということはほぼ毎年あります。
それは奄美の催事は旧暦をもとに予定を決めているからです。
そして私たちが普段目にするカレンダーは新暦をもとに書かれています。
■旧暦とは?
現在の旧暦は”太陰太陽暦”というものを採用しています。
主に月の満ち欠けを基準としています。また季節とずれないように太陽の動きも考慮しています。
新月⇒満月⇒新月という形で月は満ち欠けをしています。このサイクルは平均すると約29.5日間となります。
なので一年間は354日となります。
■新暦とは?
新暦は太陽暦というものをを採用しています。
日本で太陽暦が採用されたのが、1873年の明治時代のことです。
現代のカレンダーがこの新暦で書かれています。
それまでは太陰太陽暦の旧暦を長い間日本は使っていました。
新暦は地球が太陽の周りをまわる周期を基準としており、地球が太陽の周りを一周するのに365.23219日かかります。
ジャスト365日ではないのです。そのため4年に一度閏年として1日増やし366日として、季節のズレがおきないように調整しているのです。
■旧暦と新暦の違い
旧暦の紹介に354日と書いていたけれど、『一年間は365日なのではないの?新暦は1カ月が30日だったり、31日だったり、28日などのときもあるのでは?』
お気づきの通り、旧暦と新暦では一年間のスケジュールが異なります。
だから旧暦と新暦では、3年間で約1カ月のズレが生じるのです。
ちなみに2020年は、旧暦と新暦で1カ月以上のズレがあります。
■奄美の主な旧暦行事
1月:
旧正月:
旧暦に1/1にお正月を楽しみます。最近の奄美の若い人たちは旧暦で何かをするということは減ってきたようです。
3月:
サンガツサンチ:
旧暦の3/3にフティ餅というお菓子を作り、女の子のお祝いを行います。
この日が平日だった場合も、女の子のいる家庭は職場を全日もしくは半休とるなどする家庭も少なくなく、自分のこどもを海水へ浸からせるようにしています。そうすることで夏に風邪をひきにくくなったり、カラスになる(海で泳げなくなる)という言い伝えがあります。
7月:
七夕:
旧暦の7/7にご先祖様のために、自宅の前に飾りを付けた笹を飾ります。
8月:
アラセツ:旧暦最初の8月の丙の日
シバサシ:アラセツから7日後にあたる壬の日。昔はアラセツからシバサシの日まで毎晩踊り続けていたと言われています。
豊年祭:旧暦の8月15日にはほとんどの集落で豊年祭を行います。現在は各集落で日程が被らないように週をずらすなどする集落も増えてきました。
この豊年祭では敬老会も兼ねて行う地域も少なくありません。
9月:
クガツクンチ:瀬戸内町の諸鈍集落にて行われる諸鈍シバヤや実久集落で行われる実久山次郎があります。
このように昔の伝統に重んじながら旧暦を下に奄美の行事が行われる催事が数多くあります。
■旧暦を意識して奄美に観光にくるいいかも?!
上記で説明した行事がある集落もありますので、もし集落在住の友達や知人がいましたら、旧暦に沿った話をしてあげるとシマ通に見られるかもしれませんよ^^
■奄美で毎月行われるお墓掃除
毎月、旧暦の1日と15日に各集落では自分の家系のお墓の掃除、お墓参りを行う家庭が多いです。
お墓の掃除を行い、お墓に飾るお花の入れ替えなどを行います。
■私の祖父の想い出
奄美はなはなエールを設立する2年前の2015年に私は奄美大島へ引っ越してきました。
じいちゃんがいなければ、絶対に引っ越してこなかったでしょう。
じいちゃんは当時90歳になる頃でした。
当時は畑をするほど元気でした。
自分の家系のコトや地元の伝統行事の過ごし方などを教えてもらいました。
亡くなる前に、ビールの商品開発がはじまりました。
出来上がったらじいちゃんに飲んでもらおうと思っていました。
そんな中、2017年になってすぐじいちゃんが亡くなってしまいました。
じいちゃんと奄美で過ごした時間は2年弱。
本当に急な出来事でした。
旧暦のお盆を一緒に過ごしたり、お墓掃除を一緒にしたりしたじいちゃん。
今では僕がお盆の時期にじいちゃんと一緒にいったお墓におじさんと一緒に行くようになりました。
自分にとってはとても短い2年弱でした。
じいちゃんは90年程の永井人生の月日の中で、毎月毎月お墓掃除をしてお盆を迎え過ごす。
そして多分思いがけず、自分の孫がこうやって奄美に引っ越してきてくれたことは嬉しいのかな。そう思ってくれていたら嬉しいです。
多分シマッチュの皆様もそういった想いがそれぞれの心の中でそれぞれに受け継がれているのかなと思います。
■旧暦を大切にする奄美
このように新暦が普及して100年以上が経ちますが奄美では今も尚旧暦で行事が行われています。
ここからも分かるように奄美は昔からの伝統を重んじ続ける地域です。
行事のときしか目には見えないかもしれませんが、そういったハートフルな部分があるということをぜひ頭の片隅にいれていただけると、そんな人情溢れる奄美の良さを感じられるかもしれませよ^^
■シュマッチュの当たり前
毎年旧暦に従いながら様々な行事を行う奄美のシマッチュ。
シマッチュからすると極々当たり前のことです。しかし奄美で当たり前のことがいつの間にか奄美外の都市部では新暦のみでスケジュールを決めながら動いています。都市部で生活されている人からすれば、これが極々当たり前です。
このようにお互いの当たり前の価値観に相違が生じているのです。
だからこそ昔からの伝統を当たり前に継承している奄美の時間感覚は今でいえば貴重でもあるのかもしれません。
もし奄美に観光に来られる際は、シマッチュの当たり前の話を飲み屋で引き出してみるのも面白いかもしれませんよ^^